◇三島総合病院の場合 医師確保問題で二次周産期医療機関の運用できず
これはずいぶん取り糺された問題で、すでに手垢のついた情報だそうですが・・・・・・・・・・・、
地域医療機能推進機構・三島総合病院(旧三島社会保険病院)が、昨年10月開設の予定で12億4千万円(県・市の補助金3億5200万円)を投じた「周産期センター」(3階建て2700m2 24床、産科医3人・小児科医2人の24時間体制=予定)が医師確保ができず暗礁に乗り上げています。
先月28日にオープンしたものの産科医一人のみが確保されただけで、分娩には非常勤医師を含めた体制で24時間対応できるようにしたようですが、小児科医師は一人も確保できなかったためNICU(3床)の診療体制は不可能となり、「二次周産期医療機関」としての運用はできていません。
この三島総合病院の場合は、この地域の二次周産期医療体制の拡充が急務となっている下で、産婦人科・小児科医師の確保が困難であるという根底にある医師事情をよく吟味しないまま、無理な計画で突破しようとしたことにありそうです。
もともと「産科医3人、小児科医2人の5人の常勤医体制」で運用する予定だったのですが、この話を聞いたとある小児科医は「産科、小児科それぞれ5人で10人で運用するのかと思った」とその無理な計画に疑問をもったといいます。
地域の切実な要求に応えることはよしとしても、利権の絡む資本の要求やら、公的補助金などに惑わされたということもないとは言えません。
三島総合病院(静岡新聞01/15) |
▷三島総合病院:周産期センター開設 常勤医1人だけ 2次めど立たず /静岡
(地域)2016年3月30日(水) 配信:毎日新聞社(出所:m3.com)医師が確保できず昨年10月の開設予定が延期されていた三島総合病院(旧三島社会保険病院、三島市谷田)の周産期センターが28日オープンした。ただし、確保できた常勤医は産科医1人だけ。異常分娩(ぶんべん)にも対応でき比較的高度な医療を施す「2次周産期医療機関」としての運用のめどは依然立っていない。
センターは3階建てで延べ約2700平方メートル。当初計画では、24床を設置し、産科医3人、小児科医2人の計5人の常勤医を確保する予定だった。分娩には非常勤産科医を加えて24時間態勢で対応するが、小児科医は非常勤医も含め1人も確保できず、新生児集中治療室(NICU)に準じた診療体制を予定していた3床は整わなかった。
同病院は「医学部の研修制度が変わり、医師が集まらなくなった」と説明。「今後も医師の確保に努め、2次医療機関への移行を目指す」としている。
センターは、病院を運営する独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(現・地域医療機能推進機構)に三島市と県が働きかけ、機構が2013年4月に計画を承認。事業費約12億4000万円のうち、県と三島市が補助金計3億5200万円を拠出した。
日勤(午前8時半~午後5時半)と当直(午後5時半~翌午前8時半)の2交代で、医師1人を常に配置するとしている。【垂水友里香】
……………………………………………………………………………………………
■解説
◇逼迫した出産事情背景に
2次周産期医療機関として機能できないにもかかわらず、地域医療機能推進機構がセンターを開設したのは、来年度にずれると県と三島市から補助金計約3億5200万円の返還を求められる可能性もあったからだ。当初は医師確保や経営的観点からセンター建設に難色を示していた機構が、それでも県や三島市の要請に応じた背景には、逼迫(ひっぱく)した県東部の出産事情がある。
三島市には出産できる産科医院が2カ所しかなく、同市を含む「駿東田方医療圏」にある2次以上の周産期医療機関も、沼津市立病院と、順天堂大静岡病院の2カ所だけだ。
さらに新生児集中治療室(NICU)の病床整備率を国は出生1万人当たり25~30床と定めるが、県東部に限ると12・4床しかない。県西部には聖隷浜松病院、浜松医科大病院などNICUを備えた病院が5カ所あるが、県東部は順天堂大静岡病院だけだからだ。
県周産期医療体制整備計画では「駿東田方医療圏は2次機関が少なく、ハイリスク患者が高度医療を担う3次機関に集中している。2次の拡充とNICUの機能強化が課題だ」としている。
田中産婦人科(三島市中央町)の田中平生院長(79)は「急患を受け入れる沼津市立病院と順天堂静岡病院には患者が集中している。私たち医師が赤ちゃんを安心して取り上げるためにも2次医療機関整備は必要だ」と話す。一方で「24時間態勢なら、最低でも産科医は8人が必要だ。産科3人では激務で、この条件で医師が集まらないのは当然だ」と指摘する医師もいる。
地域で求められている2次医療機関でも機能しなければ意味がない。出産を控えた女性が安心して産み育てられる環境を、しっかりとした計画の元に進めてほしいと切に願う。
【垂水友里香】
0 件のコメント:
コメントを投稿