2015年7月19日日曜日

・流通資本と介護事業--イオンがデイサービス事業に参入--

 厚労省によれば、介護事業所の数は2015年4月時点で4万2000カ所を超えている。10年で2万5000カ所増えたことになる。

 厚労省は、高齢者が住み慣れた自宅で最期を迎えられるようにとう触れ込みで、必要な医療や介護サービスを提供する体制の構築を目指しており、デイサービスの需要は今後も高まる見通で、25年度には14年度比56%増の301万人がデイサービスを利用すると見込まれている。


 日本経済新聞  2015年7月19日(日)・・・きょうのことば・・・でこんなふうに評価した「デイサービス 異業種からの参入盛ん」。

▽…在宅の要介護者を施設で日中に預かる介護サービス。送迎付きで家族の負担を和らげることにもなるため人気のサービスの一つ。要介護者が料金を支払い、入浴や食事の提供などを受けられることが多いほか、レクリエーションや体操、訓練を通じて心身機能の維持・改善を目指す。開設にあたって他の介護サービスよりも必要な施設面積が小さく、人員も少なくてすむため、異業種からの参入が盛んで、フランチャイズチェーン展開も活発だ。

▽…在宅生活を支えるデイサービス施設のさらなる増設も重要な一方、「サービスの中身が伴っていない」との指摘もあり、事業者の売り上げとなる介護報酬も4月から減額された。要介護者を単に預かるだけでなく、認知症への対応力や、要介護度を改善させるといった「質の向上」も求められつつある。

 しかし、介護報酬は減額となり、大規模に有利で中小の介護事業所には不利となった。大資本による介護事業参入となると中小零細の介護事業所には大きな打撃であり、閉鎖を含む痛手をこうむることになるだろう。

 そして、流通資本の介護事業への参入には福祉とは別の目的があることを忘れてはならない。

出所:日本経済新聞 15/97/19


(以下、参考・引用)→イオン 介護参入

▽イオンが介護参入、スーパーに通所施設 20年度50カ所
 日本経済新聞 2015年7月19日(日)

 イオンは介護事業に参入する。リハビリのための運動などが日帰りでできるデイサービス(通所介護)施設を総合スーパー内に、首都圏を中心として2020年度までに50カ所設ける。近隣の高齢の顧客や家族の需要に応える。25年に首都圏で約13万人分の介護施設が不足するとの試算もある。流通大手が既存の店舗を生かしその受け皿を目指す。

 デイサービス施設はイオンの中核子会社で約350店の総合スーパーを運営するイオンリテールが直営で手掛ける。9月にも千葉県野田市にある店に広さ約200平方メートルの施設を開くのを機に本格展開し、18年度までに20~25、20年度に50施設に拡大する。

 主に開業から30年前後たった店を対象とする。開業時には周辺の住宅開発などが始まったばかりで顧客層も若かった店も、時を経て高齢者が多くなる。こうした店に施設を導入し、高齢化する顧客のニーズをすくい上げていく狙いだ。

 在宅の要介護者向けに、リハビリなどを通じた身体機能の維持・強化にほぼ特化したサービスを売り物にする。効果や安全性が検証されたトレーニングマシンを導入し、理学療法士らが専用のプログラムを用意して利用者に取り組んでもらう。

 具体的には階段の上り下りがしやすいよう太ももや腰の筋肉の強化や、猫背防止のための広背筋を鍛えるメニューなどをトレーナーの指示に沿って進める。認知機能を高めるためのゲームなども手掛ける。

 イオンは葛西店(東京・江戸川)で東京都から認可を受け、13年秋から広さ100平方メートル、定員29人のデイサービス施設を実験的に運営してきた。午前と午後に分け、食事や入浴などは手掛けずリハビリ関係にサービスを絞って提供。14年度に黒字化したため、運営ノウハウが確立できたとみて多店舗展開を進める。

 厚生労働省によるとデイサービスの利用者は200万人に迫り、市場規模は1.5兆円を超える。施設数は4月時点で4万2千カ所あり、10年で2.5倍に増えた。

 だが、首都圏ではこれを上回るペースで高齢者が増え、介護施設の不足が課題になっている。事業者もニチイ学館などの大手でも400カ所弱どまりで中小の事業者が大半を占めており、商機があると判断した。

 総合スーパー事業で苦戦するイオンは成長戦略として「大都市」と「シニア」シフトを掲げる。これまでも70歳代以上を対象にしたプライベートブランド(PB=自主企画)衣料品を提供するなど、シニア需要の取り込みを進めている。

 介護保険を使うため、デイサービスの送迎中に本人が店で買い物することは基本的にできない。ただ新たなサービスの提供で、家族を含めた顧客の囲い込みを目指す。

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