茨城県桜川市の県西総合病院で四月から外科医の常勤医が0「ゼロ」になることが発表された。現在は三人が救急医療を含め当病院の消化器系外科を一手に引き受けている。この地域医療への影響は避けられない。県西総合病院は筑西市民病院と再編統合され、2018年10月、新中核病院として開院する予定だ。
県西総合病院(桜川市) |
朝日新聞によれば、三人の外科医は千葉大からの派遣で「引き上げ」を告げられたという。「引き上げ」の理由について新中核病院の理事長と院長に、筑波大と自治医大の教授が就くことが決まり、両大を中心に病院運営を進める方針となったことが理由のひとつではないかという(中原智子院長)。
まるで、「引き上げた千葉大のせい」とも受け取れるが、それはあまりに単純すぎる。大学の引き上げが引き金になることはあるが、医師不足についてはこれまで議論されてきたことでもあり、その背景には低診療報酬と過酷な医師労働がある。今年四月からの診療報酬改定も診療報酬は引き下げられた。とくに病院には厳しくなっている。
医師問題は終わっていない。「財政難」を理由にした社会保障費の削減が続く限りそれは終わらない。
(以下、参考・引用)
▷茨城)常勤外科医がゼロに 県西総合病院、4月以降
(地域) 2016年3月18日 (金) 配信:朝日新聞(出所:m3.com)http://digital.asahi.com/articles/ASJ3K2JTSJ3KUJHB001.html?_requesturl=articles%2FASJ3K2JTSJ3KUJHB001.html&rm=460
桜川市の県西総合病院で4月以降、3人いる外科の常勤医がゼロになることがわかった。病院を運営する桜川、筑西両市の一部事務組合の議会で17日、中原智子院長が明らかにした。常勤内科医1人も退職するといい、入院患者の受け入れも制限される。地域医療に及ぼす影響は大きい。
県西総合病院には12の診療科がある。許可病床数は299だが、医師不足などの影響で実稼働の病床数はそれを100以上下回る。最大30人以上いた常勤医は現在15人。うち内科は4人で、外科は3人だ。県西総合病院は筑西市民病院と再編統合され、2018年10月、新中核病院として開院することが決まっている。
3人の常勤外科医は千葉大からの派遣だ。中原院長によると、昨年12月初め、千葉大の責任教授から連絡があり、3人の「撤退」を告げられたという。教授との面会を試みたが、会えなかったという。事務組合長の大塚秀喜・桜川市長も教授に「派遣継続」の要請を試みたが、面会はかなわず、1月下旬、3人の引き上げが正式決定した。同時期、消化器内科の常勤医の退職も決まったという。
組合議員から「千葉大の引き上げ理由」をただされた。中原院長は、新中核病院の理事長と院長に、筑波大と自治医大の教授が就くことが決まり、両大を中心に病院運営を進める方針が示されたことも理由の一つではないかと示唆した。
一方、外科と消化器内科の常勤医がいなくなることで病院経営は厳しくなる。外科手術ができず、入院が必要な消化器疾患の受け入れが不可能となるからだ。今年度に比べ、新年度の医業収益は3億円弱減ることが予想されるという。
筑西広域消防本部によると、昨年の県西総合病院への救急搬送は579件で、桜川市内の救急搬送先として集中している。消防本部の幹部は「外科手術ができず、消化器疾患の受け入れが無理となれば搬送先の候補からはずさざるを得ない」と話す。市内の医療機関は少なく、真壁医師会によると、診療所は15で病院は3院。医師会幹部は「県西総合病院は地域医療の中心だっただけに、影響は大きい」と懸念する。
中原院長は答弁の中で「新中核病院に移行するまでの2年半、安全・安心の医療を提供し、この地域の医療を守っていくことが県西総合病院の責務と考える」と述べ、関係機関などに理解と協力を求めた。(吉江宣幸)
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