2015年6月27日土曜日

・<追い詰められるアベ政権>「戦争法案」、アベ執行部の強権政治が自民党内から露呈

 日本の自民党政府にもこれほどの首相はいなかった。このかつていないアベ宰相の傲慢なやり方と強権政治が、自民党内部から露呈した。多くの学者・専門家から「違憲立法」の「レッテル」を貼られた戦争法案。もうこれを剥がすことなどできない。これは言うまでもなく追い詰められたアベ政権の「焦り」に他ならない。 
 
 
(東京新聞  2015年6月27日 朝刊)

(以下、参考資料)

▽安保法案に逆風 焦る自民 野党反発「言論封殺の動き」

      
【政治】 東京新聞  2015年6月27日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062702000159.html

 安全保障関連法案に関する二十六日の衆院特別委員会では、安倍晋三首相に近い自民党若手議員による勉強会で報道規制と受け取られかねない発言が相次いだことに、野党の批判が集中した。若手議員が報道を批判したのは、「違憲立法」との逆風にさらされる安保法案の成立を後押ししようと焦った結果だった。特別委の外の言動が安保法案の審議に影響を及ぼさないよう神経をとがらせていた自民党執行部は、火消しに追われた。 (新開浩)

 勉強会は「文化芸術懇話会」。改憲や安保法案成立を目指し、二十五日の初会合には作家の百田尚樹氏を講師に招いた。党総裁選で首相の再選を支持する「安倍応援団」の色彩も濃く、加藤勝信官房副長官や萩生田光一総裁特別補佐ら首相側近を含む三十七人が参加。勉強会を主宰する木原稔衆院議員は会合後、総裁選で「首相を応援する」と記者団に明言した。

 会合では、出席議員が安保法案への国民の理解を促す方法を質問し、百田氏は分かりやすい説明の必要性を強調した。こうした情報発信のあり方をめぐる議論の中で、安保法案に批判的な報道機関に広告料を提供する企業に、百田氏ら文化人から圧力をかけてほしいとの意見が出席議員から続けざまに飛び出した。

 特別委の浜田靖一委員長(自民)は、野党の批判を受け、審議が停滞しかねないと判断し、関係者から会合内容を確認。佐藤勉国会対策委員長は木原氏を呼んで厳重注意した。木原氏は「後ろから鉄砲を撃ったと言われても仕方ない」と記者団に述べ、法案審議への影響を認めた。

 ただ、今回の問題は、若手の「勇み足」では済まない側面もある。勉強会側は事前に党執行部、首相官邸に開催を通知していた。一方で、党内でハト派と目される若手議員らは、党執行部の締め付けが強まる中、同じ二十五日に予定していた勉強会を中止。安倍政権が党内の会合を選別したとも映る経過で、強権的なイメージを助長しかねない。

 これに対し、野党側は一斉に反発。民主党の長妻昭代表代行は「言論封殺の動きが背景にもっと広範囲にあるのではないか」と記者団に述べた。維新の党の下地幹郎氏は百田氏の沖縄に対する発言に出席者が反論しなかったことに関し「自民党の国会議員そのものが衰退している」と批判。共産党の赤嶺政賢氏は「戦争立法のために言論を弾圧するのか」と非難した。


▽ マスコミ懲らしめるには広告収入なくせばいい 自民勉強会 議員らの発言要旨(前掲同紙)

 改憲を目指す自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」が二十五日に党本部で開いた初会合での報道機関に関する発言の要旨は以下の通り。主宰する木原稔衆院議員、講師の作家百田尚樹氏の冒頭発言はメディアに公開された。その後、百田氏の講演、出席議員による質疑が非公開で行われたが、発言者がマイクを使ったため、発言の多くは室外まで聞こえていた。

 百田氏 マスコミの皆さんに言いたい。公正な報道は当たり前だが、日本の国をいかに良くするかという気持ちを持ってほしい。反日とか売国とか、日本を陥れるとしか思えない記事が多い。日本が立派な国になるかということを考えて記事を書いてほしい。

 (ここから講演)政治家は国民に対するアピールが下手だ。難しい法解釈は通じない。気持ちにいかに訴えるかが大事だ。集団的自衛権は一般国民には分からない。自国の兵力では立ち向かえないから、集団的自衛権は必要だ。侵略戦争はしないということで改憲すべきだ。攻められた場合は絶対に守るということを書けばいい。

 議員A マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい。われわれ政治家、まして安倍首相は言えないことだ。文化人、あるいは民間の方々がマスコミに広告料を払うなんてとんでもないと経団連に働きかけてほしい。

 議員B 広告料収入とテレビの提供スポンサーにならないということがマスコミには一番こたえるだろう。

 百田氏 本当に難しい。広告を止めると一般企業も困るところがある。僕は新聞の影響は本当はすごくないと思っている。それよりもテレビ。広告料ではなく、地上波の既得権をなくしてもらいたい。自由競争なしに五十年も六十年も続いている。自由競争にすれば、テレビ局の状況はかなり変わる。ここを総務省にしっかりやってほしい。

 議員C 沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは、戦後保守の堕落だった。沖縄タイムス、琉球新報の牙城の中で、沖縄世論を正しい方向に持っていくために、どのようなことをするか。左翼勢力に乗っ取られている現状において、何とか知恵をいただきたい。

 百田氏 沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば、目を覚ますはずだが、どうしようもない。(沖縄の基地負担問題は)根が深い。苦労も理解できる。

2015年6月24日水曜日

・<追い詰められるアベ政権>「朝日」では内閣支持率39%に下落

 朝日新聞の世論調査ではアベ宰相の受けは低く出るようですが、今回は30%台に大下落で、第二次アベ内閣で最低ラインに並んだようです。また、女性では不支持率が支持率を上回り逆転しました。
 しかし、アベ政権は国会の会期を、戦後最長にまで延長して数の力で強行しました。おそらく「審議時間は十分とった」として、「黒を白」と強引に言いくるめ採決を強行するつもりに違いありません。

(以下、参考引用資料)

▽「内閣支持率39%に下落 朝日新聞世論調査

(その他) 2015年6月23日(火) 配信:朝日新聞(出所:m3.com) http://www.asahi.com/articles/photo/AS20150622004385.html

 朝日新聞社が20、21両日に行った全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は39%で、前回(5月16、17日調査)の45%から下落した。支持率の40%割れは昨年11月22、23日の調査以来で、第2次安倍内閣発足以降最低に並んだ。安全保障関連法案への賛否は、「賛成」29%に対し、「反対」は53%と過半数を占めた。同法案が内閣支持率に影響したとみられる。

 安倍内閣の不支持率は37%(前回32%)。今回、内閣支持率は女性での落ち込みが大きく、前回の42%から34%に減少。不支持率も37%と前回の31%から増え、支持と不支持が逆転した。女性での逆転は昨年11月29、30日の調査以来だ。

 集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安保関連法案については、憲法学者3人が衆院憲法審査会で「憲法違反だ」と指摘したが、こうした主張を「支持する」と答えた人は50%に達した。他方、憲法に違反していないと反論する安倍政権の主張を「支持する」という人は17%にとどまった。

 安倍晋三首相は法案について「丁寧に説明する」としているが、首相の国民への説明は「丁寧ではない」という人は69%。「丁寧だ」の12%を大きく上回った。

 安保関連法案をいまの国会で成立させる必要があるか聞くと、「必要はない」が65%を占め、前回調査の60%から増えた。逆に、「必要がある」は17%だった(前回23%)。

 法案に「賛成」という人でも、今国会成立の「必要がある」と答えた人が49%いる一方、「必要はない」は37%と、一定数を占めていた。安倍政権と与党は通常国会の会期を9月27日まで延長して今国会での成立をめざすが、今国会成立に賛同する意見は少ない。

 日本年金機構から年金加入者と受給者の個人情報が流出した問題についても聞いた。安倍政権の対応を「評価する」は9%、「評価しない」は64%。「評価しない」という人でも31%が内閣を支持しており、この問題の支持率への影響は今のところ大きくはないとみられる。

2015年6月22日月曜日

・<追い詰められるアベ政権>【共同通信世論調査】安保法案56%憲法違反 内閣支持微減47%

 「戦争法案」と「アベ政権」に対する国民世論は、まさに「潮目」が順行から「留」~逆行に至る状況です。
 共同通信世論調査では、「違憲」、「反対」、「今国会成立反対」が57~63%という驚くべき高率で否定的です。アベ政権の支持率は共同通信の前回の調査から2.5ポイントダウン、不支持率は5ポイントアップしました。
 「議論の焦点は自衛隊活動をめぐる各論から同法案の合憲・違憲性という「そもそも論」に戻った」(共同通信)。
 これから内閣支持率は急速に落ちるに違いありませんが、切れ目なく圧倒的な世論を形成して、「戦争法案」ともどもアベ内閣を「奈落の底」まで落とし込まなければいけません。

(*以下、引用参考資料)
◇安保法案56%憲法違反 「反対」も半数超す 内閣支持微減47%
(共同通信) 2015/06/22 11:00
 
 共同通信社が20、21両日に実施した全国電話世論調査によると、安全保障関連法案が「憲法に違反していると思う」との回答は56・7%に上った。「違反しているとは思わない」は29・2%だった。安保法案に「反対」は58・7%で、5月の前回調査から11・1ポイント上昇した。「賛成」は27・8%だった。安倍内閣の支持率は47・4%で、前回調査から2・5ポイント減った。不支持率は43・0%(前回38・0%)。


 安保法案をめぐっては、衆院憲法審査会で参考人の憲法学者全員が「違憲」と主張し、与野党の見解が対立している。法案の合憲性に関し、国民が疑問を拭えていない状況が浮き彫りになった。

 安保法案の今国会成立に「反対」は63・1%で、前回より8・0ポイント増。「賛成」は26・2%だった。安倍政権が法案について「十分に説明しているとは思わない」は84・0%に上り「十分に説明していると思う」は13・2%にとどまった。法案成立後、自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」は73・1%で、「変わらない」の22・4%を大きく上回った。

 日本年金機構の個人情報流出問題をめぐる政府の対応については「適切ではない」が72・6%を占めた。「適切だ」は13・1%だった。

  安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話をめぐっては、53・4%が「植民地支配と侵略」への「反省とおわび」を盛り込むべきだとした。「盛り込むべきではない」は33・6%となった。

 改正公選法成立による選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げを59・6%が評価した。「評価しない」との回答が36・5%あった。



 政党支持率は、自民党が前回比1・4ポイント減の37・0%で、民主党は1・0ポイント増の10・1%。維新の党5・3%、公明党3・6%、共産党4・8%、次世代の党0・6%、社民党0・9%、生活の党0・3%、元気にする会0・1%、新党改革0・2%。「支持政党なし」の無党派層は36・9%だった。



◇【解説】 憲法との整合性なお疑念

 共同通信社の世論調査で、政府の安全保障関連法案が憲法に違反していると思うとの回答が多数になった。与党は国会会期を大幅に延長して同法案を成立させる方針だが、国の最高法規である憲法との整合性が取れていないとする疑念は根強い。安倍政権は慎重な対応を求められる。
 
 安倍晋三首相が今国会成立にこだわるのは、4月の米議会演説で夏までの法整備を「公約」したことが大きい。国民の賛否が割れるテーマを早めに処理し、来年夏の参院選への影響を最小限にとどめたいとの思惑もうかがえる。首相らは国会審議を通じて「丁寧に説明する」と繰り返すが、国民の理解が進んだとは言い難い。

 今月4日、衆院憲法審査会の参考人質疑で憲法学者全員が安保法案を「違憲」と指摘して以降、議論の焦点は自衛隊活動をめぐる各論から同法案の合憲・違憲性という「そもそも論」に戻った。日本の安保政策を根本的に変える法案である以上、国民の懸念を置き去りにすべきではない。

 ▽調査の方法=全国の有権者を対象に20、21両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。ただし、福島県の一部地域を調査対象から除いた。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1447件、うち1016人から回答を得た。

2015年6月20日土曜日

・<追い詰められるアベ政権>「安保法案」、歴代法制局長官の四氏が「違憲」

 東京新聞が独自に、集団的自衛権は合憲か、違憲かを歴代内閣法制局長官に取材し、58~62代(現在の横畠裕介長官は66代)の五氏から回答を得ている。現在のアベ晋三宰相の「お友達」といわれる横畠長官は論外だが、
 
 「他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について、内閣法制局の歴代長官で故人を除く十氏のうち五人が本紙の取材にコメントし、四氏が「違憲」もしくは「運用上は違憲」との考えを示した。合憲はいなかった。安倍政権は安保法案について「従来の憲法解釈の基本的論理は全く変わっていない」として、合憲と主張している。しかし、歴代内閣で憲法解釈の中心的役割を担った元長官が合憲性を否定したことで、法案の合法性はさらに揺らいだ」 (東京新聞 金杉貴雄)。
 
 
(以下、参考引用:東京新聞)
 

▽安保法案 正当性さらに揺らぐ 歴代法制局長官4氏「違憲」
 
 東京新聞 2015年6月20日 朝刊(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062002000118.html
 
 

 取材に応じた五氏のほか、第二次安倍政権で長官を辞め、最高裁判事(現職)になった山本庸幸(つねゆき)氏は就任会見で「(集団的自衛権の行使容認は)解釈変更で対応するのは非常に難しい」と明言。本紙の取材には「現在は立場上差し控える」とした。安保法案の違憲訴訟が起こされた場合、合憲か違憲かを判断する立場になるが「白紙の状態で判断したい」と述べた。
 梶田信一郎、工藤敦夫、茂串俊(もぐしたかし)、角田(つのだ)礼次郎の四氏は、体調や高齢、立場上などを理由にコメントしなかった。

▽歴代法制局長官5氏の見解要旨

東京新聞  2015年6月20日 朝刊(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062002000138.html)

 内閣法制局の歴代長官の安保法案に関する見解の要旨は次の通り。

  ◆宮崎礼壹氏 歴代の政府見解と断絶

 集団的自衛権の行使に関する憲法解釈は、一九七二年の政府見解で説明されている。安倍政権はこの七二年見解の論理は維持しながら、集団的自衛権の一部が限定的に認められると主張している。

 だが、この見解はそもそも、憲法上、集団的自衛権の行使が許されないことの理由を説明したものだ。

 当時の吉国一郎内閣法制局長官は「論理的帰結としてわが国への侵略がない場合の武力行使は、憲法上許されない」「憲法をどう読んでもだめだ」と語っている。集団的自衛権の行使は、まだわが国が侵略を受けていない段階で武力行使することだから、九条でどうしても読めない。

 少しは集団的自衛権もいいじゃないかというが、七二年見解は今のところはだめとか、ごく少しであればいいとか全く何も留保していない。それを根拠にするなんて百八十度違う話だ。

 七二年以降も国会で質疑がたびたびあった。だが、集団的自衛権が限定的とか一部とか認められる余地は、全くないと示されている。

 安倍政権の新解釈は、都合のよいところだけ取り出し、最小限の集団的自衛権なら当てはまるというが、それはまったく無理。これまでの政府見解から断絶した考えだ。

 今回はあまりにおかしな、ひどい議論が行われている。七二年見解の部分部分をつぎはぎし、集団的自衛権が認められるかどうかは事実の当てはめにすぎないと強弁するのは、こじつけ以外の何物でもない。

 現在の横畠裕介長官が最近、非常に問題のある解説をしている。七二年見解で憲法が武力行使をぎりぎり容認している「外国の武力攻撃で国民の生命、権利が根底から覆される急迫、不正の事態」の「外国の武力攻撃」に、「『他国への外国の武力攻撃』も含まれる」とした。

 ものすごく形式的な読み方をすればいいと思っているが、これは「日本に対する武力攻撃」と読まなければおかしい。何重の意味でもそんなことは読めない。

 政府解釈の根幹は変わっていないなどととても言えない。今までの論理を捨てるなら別の大きな問題となるが、法的な連続性が保たれているというなら、その主張は無理、うそだ。法案は違憲というのが正しい。

  ◆阪田雅裕氏 「ホルムズ海峡」憲法逸脱

 集団的自衛権の行使はこれまでおよそ認められない、必要ないと考えられてきた。法律の考え方は、理屈と事実をどう当てはめるかという問題がある。これまでは全否定だったが、自国の安全、侵略と関係あるような個別的自衛権と同じレベルのものもあり得る、としたのだろう。

 問題は、なぜそのように変える必要があるのかという十分な説明ができなければならないことだ。安全保障環境が変わったとの抽象的な説明しかしていないが、他国への攻撃に対処することが、国民を守ることとどう結び付くのか。分からない。

 憲法で武力行使が許されるのは、日本に影響があるようなことでは足りず、経済的な損失程度なら憲法の基本的論理の外になる。

 他国に対する攻撃でわが国に戦火が及ぶような状況という説明で、安倍晋三首相は「戦禍」(戦争による被害)という意味で言っているが、その程度ではだめで、「戦火」、まさに戦争が国に及ぶ状況でなければ従来の論理には合わない。政府は中東・ホルムズ海峡での機雷掃海もあり得ると言っているが、憲法論理の枠内に入らない。ホルムズ海峡での事態も法案に当てはまる可能性があるとの政府の説明なら違憲だ。

  ◆秋山 収氏 参戦に導く苦渋見えぬ

 集団的自衛権の行使を容認する政府の新解釈は、通常の言語感覚で理解すれば違憲とまで断ずべきものではない。ただ抽象的で多様に解しうる表現を使っているために「歯止め」が不十分だ。できるだけ自衛隊の活動の範囲を広げたい政府の具体的な運用の説明には、合憲の範囲を超えて違憲になるものを含んでおり、違憲の運用が行われる恐れがある。例えば「ホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合、一定期間エネルギー危機に陥る」とか、「自衛隊を戦闘に派遣しなければ米国世論に見放され、日米安保が瓦解する」などの理由で派兵がなされるケースだ。

 首相の対応を初めから見ていると、一国のリーダーとして国を参戦に導くことの重さや苦渋がほとんど感じられず、解釈の範囲を広げられるだけ広げようという姿勢が見える。このような人を最高責任者に持つことに強い不安を覚える。

  ◆津野 修氏 条文ごとに具体説明を

 憲法上、集団的自衛権は一般的には行使できないのは当然だ。個別的自衛権でさえ国際法上のものより限定的で解釈されているのに、なぜ集団的自衛権の行使が認められるのか。

 集団的自衛権は違憲だと一般論では言ってきたが、全く何も認められないかというと分からない。政府の論理は非常に抽象的。具体論として条文が本当に違憲なのかは難しい問題。具体の条文については説明を聞かないと分からない。政府は分かるように説明すべきだ。

  ◆大森政輔氏 政府の理屈で武力行使

 集団的自衛権行使を解釈変更で認めるのは、憲法九条に照らし認められない。
 解釈変更と今回の法案が憲法上認められないのは、議論するまでもない。国会では常に問題にされ、政府の説明は国際法上は有しているが憲法九条に照らすと行使は認められないと一貫してきた。ほとんど自民党内閣がそう言い続けてきた。それが突如、憲法解釈の変更で認められるとなった。今更解釈変更と称してできるはずがない。

 解釈変更で武力行使できる新たな要件に、従来の「国民の生命、権利が根底から覆される事態」に「明白な危険がある場合」と余分な文言がついた。国民の生命、権利が覆される状態にまだない段階で武力行使する。九条とは相いれない。

 何をやるかの説明でホルムズの機雷掃海の話が出てくる。これで集団的自衛権を行使できるのなら、どんな事例でも理屈をつけたらほとんどできるようになる。非常に限定されているような文言だが、政府がやろうと思えば理屈がいくらでもつけられる要件だ。あの文言はうそを言っていることになる。違憲ということは明らかだ。

2015年6月19日金曜日

・「戦争法案」反対、病気を押して寂聴さんがいのちがけの訴え

 僧侶の瀬戸内寂聴さんが93歳と言う高齢とすぐれない体調を押して、戦争法案に抗議する国会前の行動に駆けつけ、「いのちがけのスピーチ」をしました。

(しんぶん赤旗 2015/06/19)

 「最近のこの状態には寝ていられない。病気で死ぬか、けがをして死ぬか分からないが、どうせ死ぬならばこちらへ来て、みなさんに「このままでは日本はだめだよ、日本はどんどん怖いことになっているぞ」ということを申し上げて死にたいと思った」。

 寂聴さんが有名人と言うだけでメディアが大きく報道するわけではないことは、もうすでにお分かりだと思います。

 戦争法案であり「違憲」と多くの有識者から指摘されているにもかかわらず、この「安保法案」についてアベ晋三宰相は「合憲」と確信していると、まるで「酒気帯び運転」を自覚できない恐怖と危険を内包しています。

 「その言葉を違(たが)えず、違憲と指摘される安保法案の成立に手を貸すことがあってはならない」(東京新聞2015/06/18付社説)。


(以下、参考引用)
 
◆93歳寂聴さん、国会前「命懸け」スピーチ

 東京新聞 2015年6月19日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015061902000144.html

 死を覚悟した訴えが、国会前に響きわたった-。十八日夜、東京・永田町の国会議事堂近くで繰り広げられた安全保障関連法案に反対する抗議行動に、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(93)が参加した。すぐれない体調と高齢を押して駆け付けた「命懸け」のスピーチは、主催者発表で二千人以上集まった参加者の心に深く刻み込まれた。
 
 「どうせ死ぬならここに来て、『このままでは日本はだめだよ』と申し上げて死にたかった」。法衣姿の寂聴さんが車いすから立ち上がり、国会議事堂裏の歩道で語り始めると、抗議行動に集まった人たちからどよめきが上がった。

 背骨の圧迫骨折や胆のうがんなどで昨年五月から療養生活に入り、ほとんど寝たきりだった。今年四月には法話を再開したが、完治にはほど遠い。

 一九二二年に生まれ、太平洋戦争末期の空襲では母親と祖父を亡くした。自著で「戦争の生き残り老人は、嫌われてもののしられても、戦争反対を言い続けなければならない」と記すなど、戦争を憎む思いは人一倍強い。九一年の湾岸戦争、二〇〇一年の米アフガニスタン攻撃の際には断食も決行した。

 「良い戦争は絶対ない。すべて人殺しだ」。この日も、反戦を訴える舌ぽうは衰えをみせなかった。約五分のスピーチを終えると、参加者たちは「ありがとう」と声を上げた。

 抗議行動への参加を決意したのは二日前の十六日。スピーチ後、会見した寂聴さんは「年寄りを集めて国会前に座りたかった。必ず冷えて三人や四人は死ぬ。あなた方(報道陣)はほっとけないから大騒ぎする」と冗談めかして振り返った。

 今の状況は開戦に向かっていた当時の日本の雰囲気に似ているという。「表向きは平和だが、すぐ後ろの方に軍靴の音が続々と聞こえている。そういう危険な感じがする」

 療養中も法案をめぐる国会論議に注目していた。「このまま安倍晋三首相の思想で政治が続けば、戦争になる。それを防がなければならないし、私も最後の力を出して反対行動を起こしたい」と決意を語った。
 
 参加者からは感激の声が相次いだ。東京都小平市のNPO法人役員保坂みどりさん(63)は「あの年齢で、命を懸けて来てくださるなんて。すごく勇気をもらった」と声を弾ませた。
 
◇国会前スピーチ要旨
 

 
 瀬戸内寂聴です。満九十三歳になりました。きょうたくさんの方が集まっていらっしゃったが、私よりお年寄りの方はいらっしゃらないのではないか。
 
 去年一年病気をして、ほとんど寝たきりだった。完全に治ったわけではないが、最近のこの状態には寝ていられない。病気で死ぬか、けがをして死ぬか分からないが、どうせ死ぬならばこちらへ来て、みなさんに「このままでは日本はだめだよ、日本はどんどん怖いことになっているぞ」ということを申し上げて死にたいと思った。
 
 私はどこにも属していない。ただ自分一人でやってきた。もし私が死んでもあくまでも自己責任だ、そういう気持ちで来た。だから怖いものなしです。何でも言って良いと思う。

 私は一九二二年、大正十一年の生まれだから、戦争の真っただ中に青春を過ごした。前の戦争が実にひどくって大変かということを身にしみて感じている。私は終戦を北京で迎え、負けたと知ったときは殺されると思った。

 帰ってきたらふるさとの徳島は焼け野原だった。それまでの教育でこの戦争は天皇陛下のため、日本の将来のため、東洋平和のため、と教えられたが、戦争に良い戦争は絶対にない。すべて人殺しです。殺さなければ殺される。それは人間の一番悪いことだ。二度と起こしちゃならない。

 しかし、最近の日本の状況を見ていると、なんだか怖い戦争にどんどん近づいていくような気がいたします。せめて死ぬ前にここへきてそういう気持ちを訴えたいと思った。

 どうか、ここに集まった方は私と同じような気持ちだと思うが、その気持ちを他の人たちにも伝えて、特に若い人たちに伝えて、若い人の将来が幸せになるような方向に進んでほしいと思います。

2015年6月17日水曜日

・病院ベッド数を20万床削減ーー政府2025年推計

 アベ政権が団塊世代が75歳以上となる2025年のベッド数を、東京、大阪、千葉、埼玉、神奈川、沖縄の6都府県を除いて、20万床削減する「推計」を発表しました。

 しかし、これは削減できるというより、このまま推移すればベッド数は152万床に増えるから在宅や施設入所を進めて、「削減する」という計画です。在宅や施設入所を前提としており、アベ政権が得意とする「削減ありき」の策略にほかなりません。

 いよいよ「医療・介護崩壊」の最終章です。ここ時期を過ぎると高齢者人口は減少していくことになります。

(以下、参考引用)
▽病院ベッド:20万床削減 在宅・介護施設移行前提 政府2025年推計
(行政・政治) 2015年6月16日(火) 配信:毎日新聞社(出所:m3.com)

 政府は15日、団塊の世代が75歳以上となる2025年の病院ベッド数を、13年の134万7000床より最大約20万床削減できるという推計を発表した。入院治療の必要性が低い人は在宅や介護施設へ移ることを前提にしているが、受け入れ態勢の整備が課題だ。

 13年度1年分の診療報酬明細書(レセプト)などを基に試算した。対策をせずに高齢化が進んだ場合、25年の必要ベッド数は約152万床に膨らむ。しかし、在宅や介護施設への移行を進めれば、必要病床数は115万~119万床程度になり、13年より約20万~16万床削減できるとしている。

 都道府県別にみると、鹿児島県の35%減をはじめ41道府県で削減が可能。一方、東京都、大阪府、千葉、埼玉、神奈川3県などでは病床が1割前後不足する。各都道府県は今後、地域事情を加味しながら25年の必要ベッド数を絞り込み、医療提供体制とあわせた「地域医療構想」を16年秋をめどに策定する。

 ベッド数削減が「患者の追い出し」とならないためには、在宅医療や介護サービスの充実が必要で、厚生労働省は今月下旬から有識者検討会で議論する。【堀井恵里子】
……………………………………………………………………………………

 ◇2025年の都道府県別の推計病床増減率

北海道 ▼12
青森  ▼28
岩手  ▼29
宮城  ▼11
秋田  ▼28
山形  ▼23
福島  ▼28

茨城  ▼19
栃木  ▼15
群馬  ▼16
埼玉    7
千葉    6
東京    5
神奈川  15

新潟  ▼21
富山  ▼33
石川  ▼25
福井  ▼26
山梨  ▼25
長野  ▼18

岐阜  ▼19
静岡  ▼22
愛知   ▼2
三重  ▼21
滋賀  ▼12

京都   ▼1
大阪   11
兵庫   ▼7
奈良   ▼8
和歌山 ▼27

鳥取  ▼20
島根  ▼30
岡山  ▼23
広島  ▼18
山口  ▼33

徳島  ▼32
香川  ▼27
愛媛  ▼30
高知  ▼31

福岡  ▼12
佐賀  ▼33
長崎  ▼27
熊本  ▼33
大分  ▼23
宮崎  ▼33
鹿児島 ▼35
沖縄    5
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全国計 ▼12
 ※2013年比、単位%、▼はマイナス