私は<25 plus 9>+「落日の中小病院」をみた。
医療・福祉事業を運営する法人も、3月決算なら5月~6月には総会を開き、事業報告
・決算と予算・事業方針を提案し承認をもらわなければならないことになっている。今日
の医療福祉の状況は、中小病院にとっては、繰り返される何度目かの受難の年になってい
るに違いない。そのような時期に、100床規模程度の中小病院を持つ法人の総会に参加
させてもらうことができた。その中で「中小病院の落日をみた」思いを、夏休み(藪入り
)の前に記憶しておきたいと思う。
小生の経験からも、落ち込みがひどい赤字決算が続く時には、職員はもちろん、総会などでは病院・施設の利用者・出資者から批判のシャワーを受けるのが当たり前だった。法人の赤字の時は、職員も、医療・介護活動もに元気がなくなり、医療従事者にとっても利用者(出資者)にとっても他人事ではないからだ。この法人の主たる病院...は、80年代の建築で建て替えの必要性も迫っているが、赤字ではその計画すらもできない。さまざな形の悪循環に陥っている。
医療・経営計画の提案もなく、病棟(床数)や事業所を閉鎖するという議案書を見てこういうのを「座して死す」いうのだと思った。さらに驚くべきことに、この法人の総会ではそうした生々しい意見や批判がほとんどなかったことだ。
大企業でなくても、小生の体験でも医療福祉を事業とする法人の多くは、職員以外の外部(利用者・出資者)からの役員が結構な割合を占める。その「非営利共同」の民主性を担保するためだ。いうまでもなく、批判のないところに発展はない。
提案者である理事者側はそうした中小病院経営の苦難を説明する。入院を縮小する理由は、医師不足にある。低診療報酬が背景にあり、そのために止めざるを得ない診療科目があったりで医学生にとっても魅力がなくなり、さらに官製研修医制度によって、入局を約した医学生できたとしても病院に来るのは6年後となる。
だが必ずしも、その医師が来る保障もない中で、医師確保の困難は増幅する。診療を守っている医師も歳をとり、医師労働にも耐えられなくなる。少数精鋭以上に医師も人間である。こうして自公政権政府・厚労省による床数(医療費)削減政策によって中小病院は医師確保が不可能に近くなっていく。
しかしそれでも、著名なその道の有識者は、政府が入院ベッド数を削減しようとしても「経営的にも病院がベッドを削減することは難しくそう簡単には行かないだろう」という。つまり簡単にいくことがおかしいのだ。
いったん減らしたベッド数は、現制度の下では決して元に戻すことはできない。この法人の説明は、入院ベッドを減らしても、新たに小規模多機能型介護事業を開設するので、その半分の収益は賄えるというのだが、数十床分のベッド収益を穴埋めするのは至難の業だ。その前に利用者が減ってデイサービス等の介護事業をやめていて、新たな介護事業をやるからと言ってもにわかには信じがたい。収益が減少する分のコストを削減する以外にはなくなる。
「医療と経営の中長期計画」はこれから作成するのだそうだ。こうして病院として再生する能力を失った中小病院は追い詰められていく。そして、この法人の多くの出資者や利用者、職員すら経営の実態を知るすべを持たない。
そうしたことの他に再生の道はないのだろうか。中小病院の多くはその地域の中核病院として地域医療を担っている。医師不足という壁、日本の多くの病院も同じ壁にぶちあたってたたかっているはずだ。と同じように、どうしたらそうした悪循環を断ち切れるか、生き生きとたたかう道を考えることはできないだろうか。
総会の最後「座死することはしない、必ず再建する」という決意の閉会あいさつがあった。利用者も出資者も、心からそう願っているだろうに違いない。住民とともにつくりあげてきた地域医療を後退させてはならない。
(FACEBOOKに投稿したものを転載しました)
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(火)08 葉月(はづき)_・・・・・・・
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